アメカジ好きならほぼみんな知ってるブランド、「ウエアハウス」。その中でも定番スウェットとして名高い「Lot.401」は、ヴィンテージさながらの風合いと着心地で、「Lot403」とともに長らく定番商品として君臨しています。
ヴィンテージっぽいと噂の新品のLot.401が、長年の着用によって実際に「どこまで」変化し、どのような「経年変化」を見せてくれるのでしょうか？
この記事では、筆者が実際に新品で購入した「ウエアハウス Lot.401 ネイビー」を6年以上愛用し続けた結果をみていきます。
色合い、生地の質感、そして特徴的なプリントがどのように変わったのか？それは「劣化」なのか、それともアメカジ愛好家が求める「究極の味」なのか？
そして、この検証結果から見えてくる、Lot.401のポテンシャルを最大限に引き出し、最高のエイジングを楽しみながら長く付き合うための「コツ」も余すところなくご紹介します。ウエアハウスファンはもちろん、ネイビーカラースウェットの経年変化に興味がある方、お気に入りの一着を「育てたい」と考えているすべての方にとって、参考になる内容となっています。
まずは、スウェットが新品だった頃の姿を見てみましょう。
購入当初の「ウエアハウス Lot.401 ネイビー」（新品時）
購入当初の「ウエアハウス Lot.401 ネイビー」は、色は深く、濃密なネイビーで、まだ洗いがかかっていないため、キリッとした印象でした。
生地はウエアハウスならではの吊り編み機でゆっくりと編まれたコットン生地で、裏起毛もフカフカでした。胸元には、ヴィンテージカレッジスウェットを彷彿とさせる「U.Va.」のホワイトカラーのラバープリントがあり、新品時はプリントのエッジもシャープで、ネイビーのボディに映えていました。そして、首元にはめ込まれたVガゼット、長めのリブ、丸胴仕様など、ヴィンテージディテールが随所に光っていました。
そして6年以上の歳月が流れた現在のLot.401 ネイビーがこちらです。
6年着用の経年変化
新品時のキリッとした表情から一転、全体的に柔らかく、そしてクタッとしたドレープ感が美しい、どことなく風格のある一着へと変化しました。
しかし、単に「古着になった」という言葉では表現しきれない、深みが凝縮されたようなオーラを纏っています。この劇的な変化こそが、ウエアハウス Lot.401が持つポテンシャルの高さではないでしょうか。
それでは、具体的に「ウエアハウス Lot.401 ネイビー」の各ディテールが6年間で「どこまで変わった」のか、徹底的にみていきましょう。
色の変化：絶妙なフェード感
購入当初の深いダークネイビーは、6年の歳月を経て、まるでヴィンテージのワークウェアのような、奥行きのある「ナス紺」へと変化を遂げました。
日光によるヤケと洗濯を繰り返すことで、全体的に色が抜け、柔らかく落ち着いたトーンになっています。特に肩や袖の筒部分は、より色が抜け、美しい濃淡のグラデーションを生み出しています。また、袖口、裾リブの縫い目、脇下の縫製ラインなど、摩擦が多い部分は生地が擦れ、ネイビー色が薄れて芯の白っぽさが見え隠れする「アタリ」がくっきりと現れており、これがLot.401に立体感とヴィンテージ感を強く与えています。
生地の変化
ウエアハウスの代名詞ともいえる吊り編み生地は、その真価を着用と洗濯によって発揮します。新品時のハリとコシは適度に抜け、やや毛羽立ちつつも、驚くほど柔らかく、肌に吸い付くような極上の着心地へと変化しました。
ふかふかだった裏起毛は、着用と洗濯で毛足が寝て、ややフェルト状に近い状態になりました。
プリントの変化
胸元の「U.Va.」プリントの経年変化も素晴らしいものがあります。新品時にはくっきりと鮮やかだったプリントも、6年間で美しい変化を見せています。洗濯と着用による生地の伸縮に伴い、プリント表面には無数のひび割れ（クラック）が発生しました。
このひび割れこそが、ヴィンテージカレッジプリントの最大の魅力です。ホワイトカラーだったプリントも、ボディのネイビー同様にやや色褪せ、新品時の浮き立つような印象から、絶妙な風合いへと変化しました。部分的に微細な剥がれも見られますが、それもまた「味」として風格を高めています。
ディテールの変化
ディテールの変化としては、まずリブ（首元、袖、裾）ですが、新品時のしっかりとしたテンションは適度に緩み、締め付け感のない快適なフィット感になりました。特に袖リブは、自然なヨレ感が出て、こなれた雰囲気を醸し出しています。縫製部分（Vガゼット、フラットシーマなど）では、縫い糸に沿って生地が縮み、凹凸が生まれる「パッカリング」がより顕著になりました。これにより、スウェット全体の表情が豊かになり、ヴィンテージ特有の力強さが際立っています。
最も顕著なダメージは、やはり袖口リブです。先端部分に数カ所の小さな擦り切れ、そして1箇所、5mm程度の糸のほつれから発展した小さな穴が見られます。これは「ダメージ」であり「劣化」とも言えますが、致命的な状態には至っていません。
個人的には、この程度であればリペアするまでもなく、長く着込んだ証として愛おしく感じています。
「劣化」と「味」の境界線ですが、多くの場合「味」として昇華される傾向にあると感じます。その理由は、元々の生地や縫製が非常に堅牢であるため、多少のダメージでは機能性や全体の美観を大きく損なわないからと考えます。行き過ぎはただのボロとも言えますがね。
長く着るための秘訣
スウェットを長く楽しむための秘訣をご紹介します。
まず一つ目の秘訣は、「着込む」ことです。これは基本中の基本。
二つ目は洗濯方法です。色落ちや生地への負担を軽減するため、裏返して洗濯ネットに入れるのがおすすめ。洗剤は蛍光増白剤の入っていない中性のものを選びましょう。
三つ目は乾燥機の使用についてです。自然乾燥が最も生地に優しいですが、あえて乾燥機で縮ませてフィット感を高めたり、生地目を詰まらせてヴィンテージ感を出すという方法もあります。ただし、その場合は最初は短時間から試すなど慎重に行いましょう。特にウエアハウスのグレーやオートミールは特に縮みます。
四つ目は干し方です。全体的に均一に色を落としたい場合は、時々裏返して日光に当てるのも一つの手ですが、特定の部分だけを長時間当てるのは避け、基本は陰干しがおすすめです。
五つ目はプリントへの配慮です。プリント部分は特に摩擦や強い揉み洗いに弱い場合があるため、劣化を避けたい場合は裏返し＆ネットを徹底しましょう。
これからも着ていく1着
この先も着込んでいくことで、どのような「驚きの変化」を見せてくれるのか、期待は膨らむばかりです。
皆さんもこれから手に入れる一枚を、愛情込めて「育てて」みてはいかがでしょうか。買い替えも楽しみだけど、長く着るのもすごくいい。