ウエアハウスの2019年春夏カタログに掲載され、そのクラシックすぎるデザインとディテールが話題となったジーンズについての記事です。
品番『Lot.1880』が示す通り、1880年ごろに実在したワークウエアが再現されています。そのジーンズが醸し出す表情は、現代のボトムスとしては考えられないディテールがたくさんあるため『古すぎる』顔つき。
ワークウエアとして生まれたジーンズは、1950年代の『501xx』がジーンズの完成系といわれていますが『WAISTOVERALL』が実在したのはそれよりも70年以上も前。
ワークウエアとして生まれたばかりの形なのか?発展途上の形なのか?
兎にも角にも魅力あふれるディテールが満載なので、じっくりとご覧くださいね。
WAREHOUSE lot1880【WAISTOVERALL】とは?
まずは全体像からご覧ください。
使用されている生地はライトオンスのデニムで、シルエットはやや太めのズドンとしたストレート。
パッと見ただけで見慣れているジーンズとは全く違う雰囲気ですが、中身も全く違うのです。それでは魅力的なディテールをピックアップしていきます。
ボタン周辺
大戦モデルなどにつかわれているドーナツ型のボタンとはまた違う、細やかな装飾が施されたボタンです。
ボタンの高さは一般的なジーンズよりも低めです。
そもそもベルトループがついていないので、ウエスト部分の幅がかなり狭いです。
コインポケットも一応ついてはいますが、実用性は正直全くない。
「当時は何を入れていたのかな?」と想像を膨らまして楽しみましょう。
ステッチ
本来?であればリベットによって補強されている部分ですが、『WAISTOVERALL』はステッチによる補強がなされています。
痛みやすい箇所をリベットで補強するという考えが出てくる前は、ステッチによって補強がなされていたんですね。
インパクトもあってカッコいい縫製ですが、難点をいえば少しだけ手を入れにくい所でしょうか?→(正直に書いておきます)
セルビッジ付き
前立ての裏にはセルビッジがついています。
もちろん裁断後の処理はされておらず糸がピョンピョン飛び出しています。
補強用の生地
こちらも後のジーンズでは、リベットによって補強がされる箇所です。
バックポケット
バックポケットは1つだけです。
インディゴの葉っぱがモチーフであるといわれている ”飾りステッチ” もいい雰囲気ですよね。
ポケット上部にも補強用のステッチが施されています。
ここまで見ただけでも補強用のステッチが多数あり、いかに当時の技術でワークウエアを丈夫に作ろうと努力していたかがよくわかりますね。
シンチバック
ベルトループがつかない代わりにシンチバックはついており、生地の裏には別の布があてられています。よく考えられていますよね。
写真上に見えているのは『布製のパッチ』です。
セルビッジ
『501xx』などのジーンズではセルビッジは開いており ”耳のアタリが…” なんていいますが、こちらは完全に閉じてしまっています。
裾の縫製もシングルステッチです。
縫製の魅力
『WAISTOVERALL』が作られていた1880年代は、まだチェーンステッチという縫製方法ができる以前のこと。
全てシングルステッチによって縫製されています。
そのシングルステッチでいかにワークウエアを頑丈に作ろうとした努力が垣間見える部分がここです。
通常はチェーンステッチによって縫製されている腰の部分が…
折伏せ縫いという方法で縫製されています。
折伏せ縫いの特徴
2本のミシン目が通っていて、布端も完全に隠れているので、とても丈夫な縫い方です。繰り返しの洗濯にも耐えうる強度で、かつ見た目もスッキリしている。
https://sewinglog.com/flat_falled_seam
折伏せ縫いについては、分かりやすく記事にしていただいている方がいるので興味のある方はぜひ→ Sewing log【縫いやすく見た目もキレイ!折ふせ縫の方法】
現代でも行われている技術が1880年代でも存在していたなんて。
チェーンステッチによって起こるうねりや色落ちもやはり魅力的ですが、この『WAISTOVERALL』は縫製を眺めて楽しむのもありかと。乙な楽しみ方ですね。
どのように色落ちしていくかはお楽しみに。
サスペンダーを使ってワーク感をアップ!
サスペンダーなしでも穿けるサイズで購入しましたが、ボタンがついているなら付けないと!
サスペンダースタイル
- シャツ【WAREHOUSE】lot3076 シャンブレーワークシャツ
- ボトムス【WAREHOUSE】lot1880 WAISTOVERALL
- サスペンダー【Filson】TabSuspender
バックスタイルも決まりますね~。
アウターを羽織るとサスペンダーが隠れてしまうので本格的に寒くなるまでの楽しみですが、サスペンダーを使ったワークスタイルも満喫したいですね。